プロテインライブラリー(プロテインアレイ)って、何?
What is a protein library (protein array) ?
 96 well プレート上でGFP合成で作った文字 EU (Ehime Univeristy)ポストゲノム時代の大きな挑戦のひとつに、ゲノムコードされた遺伝子の機能を片っ端から解析しようという研究テーマがあります。その解析には、これまでにない新しい技術や新しいアプローチが必要とされます。例えば、遺伝子発現を網羅的に解析できるDNAチップ(転写されて細胞内に存在するmRNAの種類と量を解析できる。しかし得られるデータが、細胞内タンパク質の種・量を反映しているとは限らない)、細胞内タンパク質の網羅的な解析可能な質量分析装置を用いたプロテオミクス。私達は、網羅的なタンパク質の生化学解析を進めるための方法論を開発中です。そのキーテクノロジーになると、私達が信じているのが、この“プロテインライブラリー”。簡単に言うと、完全長cDNAを片っ端からタンパク質に変換したもの。プロテインライブラリーがあるとどうなるか? それがあれば、まずは、遺伝子産物(タンパク質)の機能や、様々な酵素の基質探索、すなわち、それらと相互作用することによって生命現象の素反応を演出させるネットワーク解析を行うことができます。まだ大半の遺伝子産物の機能は未知で、ネットワーク解析に至ってはほんの僅かしか解析できておりません。ヒトは約2万5千種類ほどの遺伝子を持っているようですが、私達は、既に6,000種類以上のヒトやマウスのタンパク質を合成しています。
96 well プレート上でGFP合成で作った文字 EU (Ehime Univeristy)ポストゲノム時代の大きな挑戦のひとつに、ゲノムコードされた遺伝子の機能を片っ端から解析しようという研究テーマがあります。その解析には、これまでにない新しい技術や新しいアプローチが必要とされます。例えば、遺伝子発現を網羅的に解析できるDNAチップ(転写されて細胞内に存在するmRNAの種類と量を解析できる。しかし得られるデータが、細胞内タンパク質の種・量を反映しているとは限らない)、細胞内タンパク質の網羅的な解析可能な質量分析装置を用いたプロテオミクス。私達は、網羅的なタンパク質の生化学解析を進めるための方法論を開発中です。そのキーテクノロジーになると、私達が信じているのが、この“プロテインライブラリー”。簡単に言うと、完全長cDNAを片っ端からタンパク質に変換したもの。プロテインライブラリーがあるとどうなるか? それがあれば、まずは、遺伝子産物(タンパク質)の機能や、様々な酵素の基質探索、すなわち、それらと相互作用することによって生命現象の素反応を演出させるネットワーク解析を行うことができます。まだ大半の遺伝子産物の機能は未知で、ネットワーク解析に至ってはほんの僅かしか解析できておりません。ヒトは約2万5千種類ほどの遺伝子を持っているようですが、私達は、既に6,000種類以上のヒトやマウスのタンパク質を合成しています。
 論文 HTタンパク質合成
論文 HTタンパク質合成 論文 DUBアレイ
論文 DUBアレイ 論文 抗体評価アレイ
論文 抗体評価アレイ
網羅的なタンパク質合成に必要な技術
Technology for comprehensive protein synthesis
ここでは毎日、数百種類のタンパク質が合成されています。何故?
 実は、6,000種類以上のタンパク質を合成するためには、そのDNA鋳型作りがとても大切です。そこにたどり着くために必要な技術をご紹介しましょう。まずは、数万種の情報を管理するデータベースの構築。これがないと、必要な遺伝子の管理ができません。私達は、ファイルメーカーでヒト、マウス、シロイヌナズナ、マラリアの完全長cDNAのデータを、公共のデータベースとリンクさせ、必要な時に必要なタンパク質が合成できるように管理しています。次に、完全長cDNAを持った大腸菌の培養。実は、エアレーションを良くして、元気よく大腸菌を培養することは、網羅的なDNA構築には良くありません。 何故か? それは、遺伝子の種類によってコピー数が大きく変化してしまい、PCR法での増幅がうまくいくものと行かないクローンが出てきます。数千種類ともなると、大変です。そのため、大腸菌はできるだけ過酷な環境で培養する方が良いのです。最後にPCR法。私達は、新しい真核型mRNAをデザインすることに成功し、高価なキャップ構造や不安定なポリAテールを付加する必要がなくなりました。また、プライマーのデザインを工夫することで、非常に安定にタンパク質合成に適したDNA増幅ができるようになりました。これらの技術的工夫が、網羅的なタンパク質合成を支えています。
実は、6,000種類以上のタンパク質を合成するためには、そのDNA鋳型作りがとても大切です。そこにたどり着くために必要な技術をご紹介しましょう。まずは、数万種の情報を管理するデータベースの構築。これがないと、必要な遺伝子の管理ができません。私達は、ファイルメーカーでヒト、マウス、シロイヌナズナ、マラリアの完全長cDNAのデータを、公共のデータベースとリンクさせ、必要な時に必要なタンパク質が合成できるように管理しています。次に、完全長cDNAを持った大腸菌の培養。実は、エアレーションを良くして、元気よく大腸菌を培養することは、網羅的なDNA構築には良くありません。 何故か? それは、遺伝子の種類によってコピー数が大きく変化してしまい、PCR法での増幅がうまくいくものと行かないクローンが出てきます。数千種類ともなると、大変です。そのため、大腸菌はできるだけ過酷な環境で培養する方が良いのです。最後にPCR法。私達は、新しい真核型mRNAをデザインすることに成功し、高価なキャップ構造や不安定なポリAテールを付加する必要がなくなりました。また、プライマーのデザインを工夫することで、非常に安定にタンパク質合成に適したDNA増幅ができるようになりました。これらの技術的工夫が、網羅的なタンパク質合成を支えています。
 私達は、毎日、数百種類のタンパク質を作っています。何故、作り置きしないのでしょうか? 実は、できないのです。タンパク質の保存方法は、種々異なっており、冷凍してもOKなものもあれば、数時間で活性を失うものもあります。1つ1つ保存方法を調べればいいと仰る方もいるかも知れませんが、どんな活性をもったタンパク質かわからないものが大半です。悲しいかな、タンパク質の安定性は、調べようがないのが実情です。そこで私達は、少し前向きに、タンパク質の保存が難しいのなら、実験の度に、必要なタンパク質を合成するアプローチをとることにしました。これは、無細胞系だからこそ、可能なアプローチ。私達はさらにその利点を最大限に生かすべく、愛媛大学発のベンチャー会社であるセルフリーサイエンス社と協力して、世界に先駆け、自動タンパク質合成装置の開発に成功しました。この装置により、毎日、数百種類のタンパク質の合成は、まさに、機械任せで行えます。そのぶん、実験量は増えている感じですが。
AlphaScreen技術
AlphaScreen technology
タンパク質の相互作用解析・生化学的解析のための基盤技術の1つ。
 相互作用解析や抗体による目的物質の検出を目的としたハイスループットアッセイ法の一つ。ドナービーズとアクセプタービーズの2種類の検出ビーズを用いる。ドナービーズは680 nm の励起光を受けて300 nmの範囲に一重項酸素を発生する。アクセプタービーズは一重項酸素を受け520 - 620 nmの光を発する。それぞれのビーズとプローブ分子(例えばストレプトアビジンと抗体など)と標的タンパク質を混合し、複合体を形成させる。2種のビーズが300 nm以下に近接したときのみ発生する発光シグナルにより相互作用の強さを評価する。特異性の高さ、ダイナミックレンジの広さ、洗浄を必要としないホモジニアス系であることなどが特長である。
 相互作用解析や抗体による目的物質の検出を目的としたハイスループットアッセイ法の一つ。ドナービーズとアクセプタービーズの2種類の検出ビーズを用いる。ドナービーズは680 nm の励起光を受けて300 nmの範囲に一重項酸素を発生する。アクセプタービーズは一重項酸素を受け520 - 620 nmの光を発する。それぞれのビーズとプローブ分子(例えばストレプトアビジンと抗体など)と標的タンパク質を混合し、複合体を形成させる。2種のビーズが300 nm以下に近接したときのみ発生する発光シグナルにより相互作用の強さを評価する。特異性の高さ、ダイナミックレンジの広さ、洗浄を必要としないホモジニアス系であることなどが特長である。
タンパク質修飾を網羅的に解析する技術
Technology for comprehensive analysis of post-translational protein modification
タンパク質は、リン酸化、ユビキチン化、切断など、様々な翻訳後修飾を受けて、機能しています。
 タンパク質は、リン酸化やユビキチン化、切断など、様々な修飾を受けて、正しく機能します。実際、質量分析技術の進歩により、細胞内の非常に多くのタンパク質は、それらの修飾を受けていることが明らかとなっています。そのため、タンパク質修飾の解析を、タンパク質の機能を調べるために必須な項目です。しかし、細胞内には数千種類のタンパク質が存在するため、タンパク質修飾を行う酵素であるタンパク質の同定することは非常に困難です。そこで私達は、修飾酵素のタンパク質をライブラリーとして合成し、目的のタンパク質を修飾する酵素を簡単に検出・同定できる技術をAlphaScreen技術を基盤に開発しています。
  タンパク質は、リン酸化やユビキチン化、切断など、様々な修飾を受けて、正しく機能します。実際、質量分析技術の進歩により、細胞内の非常に多くのタンパク質は、それらの修飾を受けていることが明らかとなっています。そのため、タンパク質修飾の解析を、タンパク質の機能を調べるために必須な項目です。しかし、細胞内には数千種類のタンパク質が存在するため、タンパク質修飾を行う酵素であるタンパク質の同定することは非常に困難です。そこで私達は、修飾酵素のタンパク質をライブラリーとして合成し、目的のタンパク質を修飾する酵素を簡単に検出・同定できる技術をAlphaScreen技術を基盤に開発しています。
 具体的な例は、下記に示します。
 
リン酸化:タンパク質のリン酸化を検出する技術
Protein phosphorylation: Technology for comprehensive detection of protein phosphoryaltion
 タンパク質はタンパク質リン酸化酵素(プロテインキナーゼ)によりリン酸化されます。ヒトゲノム上に、プロテインキナーゼは500種類ほど存在しています。私達は、430種類ほどのプロテインキナーゼライブラリーを作製しており、いつでも酵素反応が可能です。反応系として、N末端にビオチン化した基質候補タンパク質とプロテインキナーゼを混合・反応させ、その後、タンパク質のリン酸化を検出するために、基本的に抗リン酸化セリン/スレオニン/チロシン認識抗体と市販のビーズを用います。もし、基質候補タンパク質がリン酸化された場合、図の様な複合体を形成するため、シグナルが検出できます。
 タンパク質はタンパク質リン酸化酵素(プロテインキナーゼ)によりリン酸化されます。ヒトゲノム上に、プロテインキナーゼは500種類ほど存在しています。私達は、430種類ほどのプロテインキナーゼライブラリーを作製しており、いつでも酵素反応が可能です。反応系として、N末端にビオチン化した基質候補タンパク質とプロテインキナーゼを混合・反応させ、その後、タンパク質のリン酸化を検出するために、基本的に抗リン酸化セリン/スレオニン/チロシン認識抗体と市販のビーズを用います。もし、基質候補タンパク質がリン酸化された場合、図の様な複合体を形成するため、シグナルが検出できます。
ユビキチン化:タンパク質のユビキチン化を検出する技術
Ubiquitination: Technology for comprehensive detection of ubiqutination
 タンパク質は、E3リガーゼと呼ばれる酵素により、ユビキチン化されます。ヒトゲノム上に、E3リガーゼは1,000種類ほどあるといわれ、特に分解以外のユビキチン化に関与している可能性が高いRING型E3リガーゼは350種類ほど存在しています。私達は、300種類ほどのRING型E3リガーゼライブラリーを作製しており、いつでも酵素反応が可能です。反応系として、N末端にビオチン化した基質候補タンパク質とE3リガーゼを混合・反応させ、その後、タンパク質のユビキチン化を検出するために、抗ユビキチン抗体と市販のビーズを用います。もし、基質候補タンパク質がユビキチン化された場合、図の様な複合体を形成するため、シグナルが検出できます。
 タンパク質は、E3リガーゼと呼ばれる酵素により、ユビキチン化されます。ヒトゲノム上に、E3リガーゼは1,000種類ほどあるといわれ、特に分解以外のユビキチン化に関与している可能性が高いRING型E3リガーゼは350種類ほど存在しています。私達は、300種類ほどのRING型E3リガーゼライブラリーを作製しており、いつでも酵素反応が可能です。反応系として、N末端にビオチン化した基質候補タンパク質とE3リガーゼを混合・反応させ、その後、タンパク質のユビキチン化を検出するために、抗ユビキチン抗体と市販のビーズを用います。もし、基質候補タンパク質がユビキチン化された場合、図の様な複合体を形成するため、シグナルが検出できます。
切断:タンパク質の切断を検出する技術
Protein cleavage: Technology for comprehensive detection of protein cleavage
 タンパク質は、プロテアーゼと呼ばれる酵素により、切断されます。ヒトゲノム上に、プロテアーゼは500種類ほどあるといわれています。私達は、プロテアーゼによる切断を検出ために、N末端にFlagタグ、C末にビオチン化した基質候補タンパク質(NCタグタンパク質)をデザインしました。反応系として、このNCタグタンパク質とプロテアーゼを混合・反応させ、その後、抗Flag抗体と市販のビーズを混合します。もし、NCタグタンパク質がプロテアーゼにより切断された場合、基質タンパク質のN末端とC末端は別の分子となるため、距離が離れてしまい、図の様な複合体を形成できず、シグナルが産生されません。これが切断検出の原理です。
 タンパク質は、プロテアーゼと呼ばれる酵素により、切断されます。ヒトゲノム上に、プロテアーゼは500種類ほどあるといわれています。私達は、プロテアーゼによる切断を検出ために、N末端にFlagタグ、C末にビオチン化した基質候補タンパク質(NCタグタンパク質)をデザインしました。反応系として、このNCタグタンパク質とプロテアーゼを混合・反応させ、その後、抗Flag抗体と市販のビーズを混合します。もし、NCタグタンパク質がプロテアーゼにより切断された場合、基質タンパク質のN末端とC末端は別の分子となるため、距離が離れてしまい、図の様な複合体を形成できず、シグナルが産生されません。これが切断検出の原理です。
特異的DNA/RNA配列に結合するタンパク質の同定
Specific DNA/RNA-binding protein: Technology for comprehensive detection of DNA/RNA-binding protein
 転写因子などのタンパク質は、特異的なDNAと結合し機能します。タンパク質とDNA/RNAなどの核酸との結合の反応系として、蛍光ラベルした核酸を用意し、基質候補タンパク質と反応させ、その後、FCS法(蛍光相関分光法)により、蛍光核酸の分子量変化を検出します。もし、目的タンパク質と核酸が結合した場合、図の様な拡散速度が遅くなります。
 転写因子などのタンパク質は、特異的なDNAと結合し機能します。タンパク質とDNA/RNAなどの核酸との結合の反応系として、蛍光ラベルした核酸を用意し、基質候補タンパク質と反応させ、その後、FCS法(蛍光相関分光法)により、蛍光核酸の分子量変化を検出します。もし、目的タンパク質と核酸が結合した場合、図の様な拡散速度が遅くなります。
結合するタンパク質の探索
Protein-protein interaction (PPI): Technology for comprehensive detection of PPI
 多くのタンパク質は、別のタンパク質と相互作用し複合体を形成して機能します。例えば、上記のプロテインキナーゼやRING型E3リガーゼも、基質タンパク質と結合してから酵素反応をするものもあります。この様に、パートナータンパク質を理解する事も、タンパク質の機能を理解する上で非常に重要な情報を与えてくれます。反応系としては、N末端にビオチン化した基質候補タンパク質とFlagやV5などの良い抗体が市販されているタグを付加したタンパク質を混合・反応させ、その後、抗タグ抗体を用いて、タンパク質-タンパク質間の相互作用を検出します。もし、候補タンパク質が他のタンパク質と相互作用した場合、図の様な複合体を形成するため、シグナルが検出できます。
多くのタンパク質は、別のタンパク質と相互作用し複合体を形成して機能します。例えば、上記のプロテインキナーゼやRING型E3リガーゼも、基質タンパク質と結合してから酵素反応をするものもあります。この様に、パートナータンパク質を理解する事も、タンパク質の機能を理解する上で非常に重要な情報を与えてくれます。反応系としては、N末端にビオチン化した基質候補タンパク質とFlagやV5などの良い抗体が市販されているタグを付加したタンパク質を混合・反応させ、その後、抗タグ抗体を用いて、タンパク質-タンパク質間の相互作用を検出します。もし、候補タンパク質が他のタンパク質と相互作用した場合、図の様な複合体を形成するため、シグナルが検出できます。
 
 

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