澤崎研の研究テーマ
Research themes in Sawasaki Lab

無細胞系細胞生物学
Cell-Free Cell Biology (CFCB)

新しい無細胞技術の方向性 !!

私達はこれまでタンパク質合成技術を基盤に、タンパク質の機能を自由に解析できるバイオ技術開発を進めてきました。それらの技術開発は、これからももちろん続けていきますが、次世代の無細胞技術として、その無細胞技術と細胞生物学的解析を融合できるような、つまり、無細胞と細胞の間に位置づけできるような新しい方向性を示す研究テーマを進めます。タンパク質合成は生命のための基本生物マシンです。つまり、無細胞タンパク質合成技術に、DNA合成、RNA合成、そして必要な代謝酵素を付加していくだけで、細胞の元になる偽細胞を再構築できると信じています。細胞は、外的環境を常に感知して、細胞内に情報を伝達して対応します。この部分にまだ未解明なことが多く、細胞の再構築に必要な知見が足りません。私達は、この不足部分を埋めるために、無細胞技術と細胞技術融合できる技術開発を進めています。LinkIcon詳細

ウイルス再構築学:ウイルス感染・複製に必要とされる宿主タンパク質分子の同定・解析
Virus reconstitution: Identification and analysis of virus-related host proteins

無細胞技術とウイルス研究の相性は抜群 !!

現在においても、ウイルス感染症は人類の大いなる脅威です。ウイルスは、タンパク質合成系を持っていないため、ホスト細胞がもつタンパク質合成系を利用して、複製・増殖します。我々の技術は、試験内でタンパク質を合成する技術です。つまり、ウイルスにとっては、我々の技術は“ホスト”の提供になります。そのため、無細胞タンパク質合成技術は、昔から、ウイルス研究に使われてきました。最近の知見では、ウイルスのタンパク質はホスト細胞内のタンパク質(宿主タンパク質)を巧みに利用して、ウイルス自身の複製・増殖に適した環境を作り上げていることがわかってきました。我々は、それら宿主タンパク質を同定・解析して、将来、試験内で細胞に似た人工細胞を作り、ウイルスの感染→複製→ウイルスを再構築できること目指しています。つまりウイルス感染・増殖の全ての行程を試験内で再構成して、ウイルス研究をより精度よく行い、複製に必須な宿主タンパク質を見つけ出し、薬剤開発につなげるべく日々努力をしています。LinkIcon詳細

がん研究:がん化タンパク質分子の同定・解析
Cancer research: Identification and analysis of cancer-induced proteins

細胞増殖に必要な因子の解明は無細胞系を基盤とした細胞再構築学への布石 !!

高等生物の細胞は、外部からの様々な刺激を受けて制御され生きています。その刺激がなくなると、基本的には細胞は死んでしまいます。ところが、ときに細胞はそれらの制御機構に従わず、刺激がなくても増殖しようと時があります。がん細胞はその典型的な例です。我々の様な高等生物はむやみに増殖する細胞が出てこないように、制御に従わない場合、細胞死を誘導できるタンパク質を20種類以上持っています。それらのがん抑制タンパク質は、制御を無視したとたん、細胞死を誘導します。ところが、最近の知見で、このがん抑制タンパク質を積極的に分解するタンパク質が存在することがわかってきました。つまり、がん抑制タンパク質を分解するタンパク質を発現すると、細胞のがん化を容易に引き起こしやすくなります。我々は、がん抑制タンパク質を分解するタンパク質を網羅的に見つけ出し、がん化を誘導する機構を明らかにしたいと思っています。
 また、我々はタンパク質を数千種類作る技術を持っています。最近、がん患者の多くが、自分のタンパク質と反応する抗体(自己抗体)をもっていることがわかってきました。ひょっとするとがん細胞を異物と認識して、免疫応答しているのかも知れません。我々は、数千種類のタンパク質をがん患者の血清と混ぜることにより、それらの自己抗体を探しています。早期のがんで誘導される自己抗体を見つけ出すことができれば、診断マーカーとして使えるかも知れないと期待しています。
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