ようこそ複合体構造解析部門へ

当部門では、真核細胞の高次機能を調節する生命現象の仕組みを原子レベルの分解能で理解する研究をおこなっています。細胞の増殖や分化、運動等の制御に重要な生体分子の複合体形成や化学反応の構造基盤を解明することで、生命活動を維持・調節する仕組みを理解し、がんや精神性疾患等の病態を改善する創薬開発に役立てることを目標としています。

タンパク質の作動機構を原子レベルで解明する

タンパク質は、アミノ酸が重合したポリペプチド鎖で作られていますが、そのポリペプチド鎖が折畳まれて立体構造を形成することで分子機能を発揮します。そのため、タンパク質の分子機能を理解するためには立体構造の決定が重要となってきます。当研究室では、コムギ無細胞タンパク質合成法とX線結晶構造解析、クライオ電子顕微鏡などの立体構造解析法をもちいることによって、生体内で重要な役割を持つタンパク質複合体の立体構造解析から分子間相互作用や立体構造変化などによる機能制御の仕組みを解明し、医学・薬学的な応用に繋げることを目指して活動しています。

主な研究テーマ

  1. 細胞の増殖・分化を制御するシグナル伝達系のタンパク質複合体の分子機能解析
  2. 神経系の発生および高次の生命機能を担うタンパク質複合体の分子機能解析

本研究室で用いる立体構造解析法

X線結晶解析

タンパク質の結晶にX線を照射することで、結晶から回折されるX線の強度と方位から結晶中のタンパク質の電子密度分布を計算し、適合する分子モデルを構築して立体構造を決定します。アミノ酸側鎖やタンパク質に結合した水分子の位置などを決定できる高分解能での立体構造決定が可能です。

①タンパク質の結晶化
②回折データ測定
③構造解析
④構造情報の取得

クライオ電子顕微鏡

タンパク質溶液をグリッド呼ばれるカーボン膜上に滴下して凍結することで薄膜状にし、透過型電子顕微鏡によってタンパク質の分子像を直接観察します。氷薄膜で観察されるタンパク質はさまざまな向きで包埋されているため、数千から数万の分子像を収集することで、三次元の分子像を再構成することが可能になります。この手法は単粒子解析法と呼ばれており、X線結晶構造解析法のようにタンパク質を結晶化する必要がなく、高分子量のタンパク質複合体の構造解析が可能です。

共同研究について

本部門では、タンパク質の立体構造解析についての共同研究が可能です。大学等の研究機関に所属される研究者の方については、プロテオサイエンスセンターの共同研究制度PRiMEを利用することができます。詳細については、下記のホームページをご参照ください。

愛媛大学 プロテオサイエンスセンター 共同研究PRiME

X線結晶構造解析またはクライオ電子顕微鏡による立体構造解析について、研究の進め方や試料調製、データ測定およびワークステーションによるデータ解析のご相談など希望がありましたら寺脇までご連絡ください。

News

2024. 3. 24.

学位授与式が挙行され、学部生3名が卒業となりました。皆さんのご活躍を期待いたします。

2024. 11. 14.

愛媛大学においてPRIME共同研究発表会およびPIM国際シンポジウムが開催されました。明治大学田畑亮准教授に発表していただき、研究室からも足立さんがポスター発表を行いました。

2024. 11. 8.

日本生化学会大会(横浜)に参加し、足立、永野は発表をおこないました。

2024. 9. 17.

BioID法に使用するビオチン化酵素について、構造学的な知見をまとめた解説記事を羊土社実験医学別冊『近接依存性標識プロトコール』に執筆しました。

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