
本論文は、大阪大学薬学研究科の岡田欣晃先生、近藤昌夫先生らとの共同研究の成果です。脳への薬の送達を妨げる血液脳関門(BBB)を短時間だけ開き、薬を脳内に届きやすくするために、Claudin-5に結合する低分子化合物を化合物ライブラリから探索し、CL5Bを発見しました。私達はCL5B を用いて血液脳関門を短時間(30 分以内)だけ開き、1.4 kDa までの大きさの薬を脳に届けられることを示しました。従来技術では血液脳関門が長時間開くことによる安全性の懸念がありましたが、CL5Bは速やかに体内から消失するため、副作用のリスクを低減しつつ薬物を安全に送達できる点が主な成果です。この成果は、これまで脳に届かなかった薬候補を治療薬として利用可能にし、新しい脳疾患治療薬の開発を加速させることが期待されます。
音声解説(6:32)
Inoue S, Shirakura K, Shirono A, Taguchi J, Ikeda Y, Tomita S, Funatsu R, Muraoka K, Hashimoto Y, Tachibana K, Hino N, Doi T, Ikemi Y, Nunomura K, Lin B, Nakagawa S, Tsujikawa K, Tanaka S, Obana M, Fujio Y, Hosoya T, Takeda H, Kondoh M, Okada Y.
Claudin 5-binding small molecule transiently opens the blood-brain barrier and safely enhances brain drug delivery.
J Control Release.
doi:10.1016/j.jconrel.2025.114314

