私たちがスクリーニングに使っている2つのプロテインアレイ
私たちがスクリーニングに用いているプロテインアレイは鋳型DNAの由来が異なる2種類のアレイが含まれます。どちらのプロテインアレイも、愛媛大学発の技術であるコムギ無細胞タンパク質合成系で作製されています。

HUPEX®アレイ
一つは、産業技術総合研究所の五島直樹先生らのチームが作製されたHUPEX®アレイ(Goshima et al. Nature Methods 2008)。竹田は2006年ごろ五島研究室に在籍し、このプロテインアレイの開発に少し関わっていました。このアレイはNEDOのFLJプロジェクトで収集された完全長cDNAを鋳型として合成した約20,000種類のヒトタンパク質から構成されています。FLJプロジェクトがそもそも新規のヒト遺伝子やスプライシングバリアントを探索することを目的の一つにしていたこともあり、標準的なアミノ酸配列のタンパク質に加えて、ちょっと変わった構造のバリアントを含むのが特徴です。HUPEX®アレイは(株)セルフリーサイエンス社が産業技術総合研究所から鋳型cDNAを用いたプロテインアレイ製造のライセンスをうけており、私たちも同社から購入しています。
えひめかずさアレイ
もうひとつのアレイは愛媛大学プロテオサイエンスセンターと公益財団法人かずさDNA研究所(千葉県)が共同開発した「えひめかずさアレイ」です。かずさDNA研究所が収集した完全長cDNAを鋳型として、私たちがプロテインアレイとして合成しました。およそ9,000種類の組換えヒトタンパク質を搭載しており、HUPEX®アレイに近いタグ構成(N末FLAG-GSTタグまたはN末FLAGタグ)を採用しているのでHUPEX®アレイと一緒にスクリーニングにかけることができます。多様なバリアントを収集したHUPEX®アレイと差別化するため、このアレイは可能な限り標準的なアミノ酸配列をしたタンパク質を搭載しているのが特徴です。搭載している代表的なタンパク質ファミリーのリストを下図で紹介します。創薬研究でよく取り上げられるタンパク質や疾患関連因子の多くを網羅しています。GPCRやチャネル、トランスポーターなどの複数回膜貫通ヘリックスを持つタンパク質は、構造を保つためにプロテオリポソーム上に作製しています。
