プロテインアレイを用いたスクリーニング

ヒトが持つタンパク質のほとんどを網羅したヒトプロテインアレイを用いて、私達は様々な創薬標的の探索を行っています。頻繁に行っているのは、関心のある分子と相互作用(結合)するタンパク質の探索です。
私達の体の中で、タンパク質や薬は必ず何らかのパートナー分子と相互作用しています。とても堅固で巨大な構造物をつくるコラーゲンやアクチンのような構造タンパク質から、化学反応がおきるほんの一瞬だけ触れ合う基質と触媒まで。結合の強弱やふるまいに違いはありますが、生体内の物質が働くときには、他の分子に相互作用しています。ですから、ある分子が何と相互作用しているのかを解析すれば、その働きを知る手がかりになります。

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タンパク質間相互作用

例えば、ヒトのタンパク質の多くはお互いに結合してタンパク質複合体をつくって機能していることが知られています。プロテインアレイを使って病気の発症に関わるタンパク質と結合するタンパク質(群)を調べれば、病気の発症メカニズムや治療方法のヒントが得られるかもしれません。
血液試料には様々なタンパク質やホルモンが含まれますが、その一つに抗体があります。抗体は私達の身体を守っている生体防御タンパク質ですが、中にはヒト自身が持つタンパク質に結合する「自己抗体」もつくられることがあります。自己抗体は自己免疫疾患と呼ばれる一群の病気で分泌されるほか、がんなどの特定の疾患でもつくられることがあり、病気の診断に有用なバイオマーカーとして応用できる可能性があります。

タンパク質-核酸間相互作用

私達の細胞や身体の設計図であるDNAやRNAに結合するタンパク質も多く知られています。遺伝子の異常(変異)が疾患の原因になることが様々な研究でわかっていますが、その変異が疾患を発症させる仕組みは不明なことが多く残されています。疾患特有の変異が挿入されたDNA配列に結合するタンパク質は、病気の発症に関与しているかもしれません。

タンパク質-低分子間相互作用

私達はプロテインアレイを用いて薬剤が結合するタンパク質の解析も進めています。治療薬や毒物の多くは、体内のタンパク質に結合し、その形や働きを変えることで効果を発揮します。ある薬の結合タンパク質が判明したら、その薬の治療メカニズムの解明や、副作用リスクの予想に役立つのではないかと期待しています。

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