Research Contents

研究全般について:「創る」研究

"Engineering" rather than "Investigation"

 研究には大きく分けて、「調べる」研究と、「創る」研究があります。一般的に、生物系研究室は前者を、化学系研究室は後者を対象とすることが多いですが、小川研究室では、生物系の研究室としては珍しく、「創る」研究を推進しています。ちなみに、「創る」は「作る」とは異なり、「”今まで無かった”モノを”新しく”つくる」という意味があります。

 つまり、当研究室では、「生命の仕組みを明らかにする」や「病気の原因となっている物質を探す」という調査研究ではなくて、「生命の仕組みを利用・改変して新しいシステムを創る」や「薬になりうる物質やその合成技術を創る」ことを目的とした、“工学的な” 開発研究を行っています。

 また、「調べる」研究のために「創る」研究を行うこともあります。上の例でいうと、「生命の仕組みを調べるための技術」や「病気の原因になっている物質を探すための技術」を「創る」研究です。逆に、「創る」研究の参考にするために、「調べる」研究を行うこともあります。ただ、いずれの場合も、当研究室での最終目標は「創る」ことです。

  
Message for Students
 

 当研究室は、生物系研究室に割り振られていますが、研究内容的には、生物系と化学系のちょうど中間あたりに位置づけられると思います。これは、私の学術的バックグラウンドが”化学”であり、学生時代には有機化学や理論化学に関する研究を行っていたこととも関係しています。


 ”化学”の観点から生命システムに切り込み、『新しい機能を持った生体分子やシステム、あるいはバイオテクノロジー』を「創る」ことに興味がある人は、ぜひ一緒に研究しましょう!


主な研究ツール:コムギ胚芽抽出液

Main Research Tool: Wheat Germ Extract

 我々の研究室では、「核酸(DNA・RNA)」や「タンパク質」といった『生命の基盤となっている生体分子』に加え、「タンパク質翻訳系」のような『生体分子が協奏的に働く生命システム』にも注目し、それらの機能を利用・拡張することで、天然には存在しない”機能性生体分子”や”人工生命システム”、あるいは”バイオテクノロジー”を「創る」研究を行っています。

 このような研究のために、我々は、プロテオサイエンスセンター(愛媛大学が誇る3大研究センターの1つ)が独自に開発したコムギ胚芽の抽出液(Wheat Germ Extract: WGE)』を主な研究ツールとして利用しています。WGEは細胞を磨り潰した液(無細胞)なので、生命活動は停止していますが、基本的な生命システム自体は保持している点が非常に魅力的です。特筆すべきは、WGEが”真核系”の高度な生命システムを提供しているということです。特に、「翻訳系」の機能は素晴らしく、他の無細胞系と比べると、活性や汎用性の点で群を抜いています。

 我々は、WGEという優れた『無細胞生命システム』を活用して、下記のような研究プロジェクトに取り組んでいます。
(研究プロジェクトの名前をクリック or タップすると、それぞれの内容を記述した詳細ページに遷移します。)

 

Message for Students
 

 現在は、人工の生体分子を合理的に設計・構築して、それらを有機的に融合することで、人工の遺伝子回路(生体の電気回路)や人工の細胞(生体のロボット)を創製する研究に注力しています。また、創製した人工生命システムを、生体内外で機能するバイオセンサーや創薬研究へ応用する方法を模索しています。


 当研究室の研究内容に興味がある人は、ぜひ一度、研究室に見学に来てください(できればアポを取ってください)。

 

"Making the simple complicated is commonplace; making the complicated simple, awesomely simple, that's creativity"
- Charles Mingus