INFORMATION

PROSセミナー&大学院特別講義を開催しました

2015.02.05
学会・セミナー
病態生理解析部門
17:30~19:00
医学部 基礎第2講義室(総合教育棟2F)

このたび、プロテオサイエンスセンター 病態生理解析部門主催のPROSセミナーを
開催しました。
多数のご来場ありがとうございました。
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【演題・演者】
「病態生理解析部門紹介」
愛媛大学 プロテオサイエンスセンター 病態生理解析部門
榊原 伊織 助教
「筋萎縮と筋肥大の新たな分子機構‐nNOS/NOの役割」
独立行政法人国立精神・神経医療研究センター
トランスレーション・メディカルセンター長
神経研究所 遺伝子疾患治療研究部長
武田 伸一 先生

我々は、負荷軽減によってもたらされる筋萎縮に、神経型一酸化窒素合成酵素(neuronal nitric oxide synthase (nNOS))が深く関与していることを明らかにした。すなわち、マウスの尾部懸垂時に筋細胞膜から遊離したnNOS は細胞質に移って一酸化窒素(nitric oxide:NO)を産生し、Forkhead box O (FoxO) 転写因子のリン酸化を阻害してE3 ユビキチンリガーゼの発現を活性化することにより、プロテアソーム系を活性化し、筋タンパク質の分解を促進して、筋萎縮を招いていた (Suzuki N, et al., J. Clin. Invest, 117: 2468-2476, 2007)。
一方、最近の我々の研究によって、nNOSは筋萎縮のみでなく萎縮からの回復および筋肥大を制御していることが明らかになった。すなわち、メカニカルストレス直後に活性化されたnNOSによって産み出されたNOは活性酸素産生酵素であるNADPH oxidase 4 (NOX4)によって産生された活性酸素と反応することにより、peroxynitriteとして筋肥大を促進することが示された。更に、メカニカルストレス下のperoxynitriteは、筋小胞体のCa2+チャネルの一つであるTRPV1を介して筋肥大を促進しており、TRPV1のアゴニストであるカプサイシンには筋萎縮予防効果があることも示すことができた。(Ito N, et al., Nat Med, 19: 101-106, 2013) この成果はperoxynitrite及びCa2+チャネルの制御を視点とした新たな筋委縮防止・筋肥大促進薬の開発を可能にしたと言える。