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PROSセミナー&大学院特別講義を開催しました【12月21日(金)】

2018.12.21
学会・セミナー

プロテオサイエンスセンター 無細胞生命科学部門主催のPROSセミナーを開催しました。今回はお二方よりご講演いただきました。多くの皆さまのご来場を心よりお礼申し上げます。
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講演1
【講演タイトル】
メタオミクス解析から明らかになった微生物による植物分解

【講演者】
北海道大学大学院工学研究院応用化学部門 助教 堀 千明 先生
http://labs.eng.hokudai.ac.jp/labo/seika/

【要旨】
食材として親しまれているキノコですが、キノコなどの糸状菌は木材腐朽菌と呼ばれ、植物を効率的に分解することができる稀な性質を持っています。最近では、このような腐朽菌は植物の進化に伴い、その分解能力を進化させてきたことが明らかとなってきました。植物は地表上にもっとも多い炭素源として存在しており、地球規模の炭素循環において腐朽菌は重要な役割を果たしていると予想されます。また近年、キノコの分解・変換能力を木質バイオマスからの高付加価値な化成品への生産プロセスに利用することが期待されており、キノコは応用面でも興味深い生物です。我々は、木材腐朽菌が生産する植物成分の分解酵素をゲノム解読をもとにしたオミクス解析により明らかにしてきました。

これまで植物分解に関わる酵素に関しては、単離した菌を対象として実験室内条件では無数の報告がなされてきました。しかし、実際の環境下で植物分解がどのような生物種がどのような酵素で分解しているのかの全体像についてはほとんど明らかにされていませんでした。最近になって多数の菌類のゲノム情報が蓄積され、マルチメタ解析を行うのに十分なプラットフォームが構築されつつあります。そこで、環境中から採取した松を対象としてメタゲノム・メタトランスクリプトーム・メタプロテオーム解析を行ったところ、木材腐朽菌が重要な働きをしていることが明らかになりました。本講演では環境下での多数の生物相互作用によって適切に選抜された植物を分解する菌や酵素について解説します。

堀 千明 先生

堀 千明 先生

高須賀 太一 先生

高須賀 太一 先生