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サリドマイド催奇性を引き起こすタンパク質の発見

- サリドマイドによる副作用のメカニズムを提唱 -

2021.01.20
研究
無細胞生命科学部門

このたび、愛媛大学プロテオサイエンスセンター 山中 聡士 特定研究員、澤崎 達也 教授、東北大学大学院生命科学研究科 田村 宏治 教授、名古屋大学大学院生命農学研究科 鈴木 孝幸 准教授、名古屋工業大学大学院工学研究科 柴田 哲男 教授らの研究グループは、サリドマイド催奇性の分子メカニズムを明らかにしました。

サリドマイドやサリドマイド誘導体は、多発性骨髄腫などの血液がんを中心として世界中で年間約1兆円の規模で使用されている低分子薬剤です。しかしながら、妊婦が服用した場合、胎児の四肢発生に重篤な副作用を示すことが大きな問題点です。本研究では、コムギ無細胞系を用いた網羅的な相互作用解析からサリドマイド催奇性に関わるタンパク質として新たにPLZFを見出しました。サリドマイドやサリドマイド誘導体の投与は細胞内においてPLZFのタンパク質分解を引き起こし、四肢発生に悪影響を与えることが示されました。さらに、本研究では生物種間のサリドマイドに対する感受性の差異のメカニズムを提唱しました。
PLZFの発見によって、現在、世界中で盛んに行われている副作用を軽減した新たなサリドマイド誘導体の開発への大きな貢献が期待できます。

この研究成果に関する論文は、令和3年1月20日付けでTHE EMBO JOURNAL誌に掲載されました。

THE EMBO JOURNAL誌はこちら

 

サリドマイドによって減少する遺伝子に対するPLZF過剰発現による回復実験

サリドマイドによって減少する遺伝子に対するPLZF過剰発現による回復実験

愛媛新聞掲載記事

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