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無細胞系を利用したスクリーニングにより、新しいジベレリン受容体アゴニストの単離に成功しました

2023.06.07
研究
無細胞生命科学部門

このたび、愛媛大学プロテオサイエンスセンター 野澤 彰 准教授、澤崎 達也 教授らの研究グループは、愛媛大学プロテオサイエンスセンターが独自に開発してきた「コムギ無細胞タンパク質合成システム」と分子間相互作用解析技術である「AlphaScreen法」を利用することで、ジベレリン受容体 とタンパク質のジベレリン依存的相互作用を解析できるアッセイ系の構築に成功しました。これを受け令和5年5月10日(水)に記者説明会を実施しました。

さらに、このアッセイ系を利用した化合物スクリーニングシステムにより、植物ホルモンであるジベレリンの受容体に対する新規アゴニスト分子「ジフェガラクチン」を単離することに成功しました。

本研究で単離された「ジフェガラクチン」は、ジベレリンとは全く異なる構造を有した、ジベレリン活性を持つ化合物です。また、ジフェガラクチンはジベレリンよりも単純な構造であるために、簡便な手法でに合成することが可能です。今後、ジフェガラクチンの構造をもとに、植物体内のジベレリン代謝系で代謝されない、より効果的なジベレリン受容体アゴニストの開発が行われることが期待されます。また、ジフェガラクチンはBタイプのジベレリン受容体に主に作用することからBタイプジベレリン受容体の機能を明らかにする研究への利用が期待されます。

この研究成果に関する論文は、令和5年5月9日(火)18時(日本時間)に Communications Biology 誌に掲載されました。

Identification of a new gibberellin receptor agonist, diphegaractin, by a cell-free chemical screening system

《参考》
・記者説明会 プレスリリース資料(PDF)
朝日新聞デジタル  「作用を絞れる」育成用農薬 愛媛大研究グループが開発 応用技術も(6/1)(朝日新聞社のサイトへリンクしています)