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(株)ビッグツリーテクノロジー&コンサルティングと 「量子コンピュータを利用したコムギ無細胞系によるマラリアタンパク質発現系の最適化」に関する共同研究を開始

2023.02.22
共同研究
マラリア研究部門

プロテオサイエンスセンター マラリア研究部門 高島 英造 准教授と、株式会社ビッグツリーテクノロジー&コンサルティング(以下、BTC)は、「量子コンピュータを利用したコムギ無細胞系によるマラリアタンパク質発現系の最適化」に関する共同研究を開始いたしました。(BTC プレスリリース)

本研究は、世界に先駆けた量子コンピュータの社会実装に向け、BTCの持つ量子コンピューティング技術を愛媛大学が持つ独自のタンパク質合成技術に応用することで、難発現タンパク質の収量改善に向けたプログラムの開発を行います。特にマラリア原虫のコドン最適化について、量子アニーラにて動作するよう定式化したプログラムを開発し、従来のコドン最適化方法と比較します。これを用いて難発現であるマラリア原虫由来のタンパク質/ペプチドがコムギ無細胞発現系にて高効率で発現されることを検証します。

熱帯熱マラリア原虫はコドンがATに非常に偏っているだけでなく、短い配列を多数回繰り返した配列をもった特殊タンパク質を主に発現しています。そのため通常の生細胞では組換えタンパク質の合成は非常に困難です。愛媛大学で開発されたコムギ無細胞系を利用することで70%以上の成功率でマラリアタンパク質を合成することが出来るようになりましたが、それでも合成量は他の生物のタンパク質をコムギ無細胞系で合成した場合と比較すると20%程度にとどまっており、マラリアタンパク質を様々な研究に利用する際の技術的ハードルとなっています。そこでコムギ無細胞系で用いるmRNA(タンパク質合成鋳型)をマラリア原虫からコムギのコドン頻度に最適化することが必要になってきます。本研究は現在のコドン最適化技術を更に高め、mRNA高次構造、レアコドン頻度、繰り返しアミノ酸配列合成の際の核酸繰り返し配列禁忌法則などを取り入れ次世代のコドン最適化プログラムを開発するものです。マラリア原虫の分子レベルでの生命現象の解明に不可欠なタンパク質ライブラリーの充足に繋がり、マラリアワクチンの開発等に寄与することが期待されます。

マラリア原虫が赤血球に侵入するところ

【写真:マラリア原虫メロゾイト(緑)が、赤血球(赤)に 侵入するところ】

 

株式会社ビッグツリーテクノロジー&コンサルティング(BTC)について
・「DX Accelerator」としてDX推進を支援する
・従来からのデジタルサービスだけでなく、競争優位性を保つための提案および技術的支援を行う
ウェブサイト https://www.bigtreetc.com/
本社 東京都港区、代表取締役社長 杉山 健