自己抗体プロファイリングって、何?

ヒトなどの高等生物がもつ免疫機構は非常に強力な味方として、感染などの外敵異物から体を守ってくれています。これが機能しないと、私達は無菌室から1歩も外に出ることができません。この免疫機構の根幹は、自己と非自己をしっかり認識することです。しかし、いくつかの遺伝的な要因と環境要因の影響で、自分自身がつくるタンパク質などを非自己として認識してしまい、その結果、膠原病などの自己免疫疾患病を引き起こしてしまいます。現場レベルで、自己と非自己を見分けているのが、抗体と呼ばれるタンパク質です。なかでも、自己抗体と呼ばれる抗体は、タチが悪く、自分自身の細胞を攻撃する最初の反応を進めます。
 多種多様な自己免疫疾患病が報告されていますが、その多くで、未だ原因となる抗原が見つかっていません。私達は、ヒトのタンパク質ライブラリーを活用し、それらの患者血清中に含まれる自己抗体がどのタンパク質を認識しているのか調べています。数千種類のタンパク質を一斉に調べますので、得られたデータを統計的な処理(プロファイル)を行い、疾患に関与するタンパク質を絞り込んでいくため、プロファイリングと呼ばれ、とりわけ、自己抗体のデータをプロファイルするところから、自己抗体プロファイリングと呼ばれています。

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自己抗体プロファイリング解析には、ビオチン化タンパク質ライブラリーが有効!

様々な疾患を対象に、自己抗体が認識する抗原タンパク質の網羅的解析を目指した
高感度抗原抗体反応検出技術の開発: 診断に必要なバイオマーカー探索に向けて

タンパク質ライブラリーを自己抗体プロファイリング解析に有効に利用するために、私達は全てのタンパク質のN末端をビオチンでラベルしています。様々な試行錯誤の結果、このビオチン化タンパク質を用いると、精製などしなくても非常に高感度に、患者血清中に含まれる自己抗体を検出できる実験系の開発に成功しました。現在、様々な医学分野の先生方との共同研究を通じて、自己免疫疾患病だけではなく、がんや動脈硬化、ウイルス感染など、様々な疾患の患者血清を分与いただき、数千種類規模の網羅的な自己抗体プロファイリングを行う段階にきています。この研究から、各個人における自己抗体の振れ幅、データ的ノイズ、類似疾患共通の自己抗体、そして、ゴールの一つである、診断に有効な自己抗体プロファイリング技術の開発につながるものと期待しています。

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