研究内容

主に、「光合成によるエネルギー変換と水の酸化機構を分子レベルで明らかにすること」を中心に、特に「光化学系II」に焦点を絞って研究を進めています。光合成タンパク質の部分的な構造を換えて機能を調べて比較することにより、構造と機能の関係について詳細に調べようとしています。
 
部分的な構造換えるために、光合成微生物(好熱性のシアノバクテリア)の遺伝子を別の遺伝子に組換えます。そして、光合成タンパク質をカラムクロマトグラフィーで精製し、光合成の活性測定、タンパク質分析や抗体染色などの生化学的手法、様々な温度での吸収や蛍光スペクトルなどの分光学的手法、熱力学的解析や電気化学的解析などの物理化学的手法などを駆使して調べて行きます。


研究の特徴

私達の研究の特徴は、構造的にも機能的にも熱安定性が大変高い「好熱性シアノバクテリア」という光合成生物を材料に用いているところです。自由自在に遺伝子組換えができるように開発した、研究室オリジナルの手法、材料です。光合成分野では、この好熱性ラン藻の組換え体を解析して、ここ10年くらいの間に多くのことが分かってきました。
 
この遺伝子組換え体作製は100コピー近くある染色体DNA全てを組み換える必要があるため、世界でも私達しか成功していません。この組換え体から精製した光化学系IIタンパク質複合体は、他の植物や光合成微生物から精製したものと異なり、全ての分子が結合した「完全な複合体」であるため、様々な分析によって情報を得ることが可能という大きなアドバンテージがあります。そのため、私達は世界の光合成研究分野の最先端で研究をしています。国内外の共同研究も多く、外国からの研究者の来日もあります(研究を通して英会話のチャンス!)。
 
実験の中でも、特に、「遺伝子組換え体の作製」や巨大な「複合体タンパク質精製」は大変高度な技術ですが、研究室メンバーみんなでサポートしますので、心配無用です。
 
元気で遺伝子やタンパク質、光合成、光化学に興味のある学生さん、是非一緒に楽しく研究しましょう!

 

メッセージ

卒業研究で行う研究は、答えの分からないものばかりです(世界で最初に知りたくて行っている)。実験で明らかにするので、まず実験技術を習得することが重要です。そのためには本人の日々の努力と先輩や教員と相談して進めることが鍵になります。また、実験は常に答えが出るとは限らず、データのバラツキもありますので、めげずに自分を信じて繰り返し実験を行うことも多いです。従って、私達の研究を進めるには、下記のような素質が必要です。
 
1)先輩や教員とコミュニケーションが取れる人。
→ 研究を理解し、進めていくためにはスムーズなコミニュケーションが大変重要です。研究室の人達はみんな気さくですので、安心して話してください。コミュニケーションが取れないと、研究ができないだけでなく、事故につながることもありますので、コミュニケーションに自信が無い人は、配属前に必ず教員に相談して下さい
2)実験がうまくいかなくても「実験は失敗しながら進めるもの」「一歩一歩進めばいいや」くらいの気持ちで臨める人。
→ 失敗というよりは、技術の未熟さのせいで繰り返し行うことがあります。それは普通のことで、繰り返して実験を繰り返すうちに必ずできるようになりますので、それまで落ち込んだりせずに頑張ってください。
3)正直な人。嘘をつかない人。
→ 嘘の研究結果は研究倫理に反しますし、正しい指示・指導ができません。
 
<実験の性質上、下記の心配がある人は、事前に教員に相談してください。>
○暗いところで不安になる人。
○狭いところで不安になる人。
○他人との会話やコミュニケーションが苦手な人。
○その他、何か不安がある人。