研究紹介|高島英造

マラリア研究部門 准教授 高島英造
マラリア研究部門 准教授 高島英造

愛媛大学プロテオサイエンスセンター・マラリア研究部門では、愛媛大学が開発したコムギ無細胞タンパク質合成系を用いることで、世界で唯一、マラリア原虫タンパク質のゲノムワイド合成が可能です。まさに大規模マラリア原虫タンパク質解析時代の到来です。

【マラリアとは】
1. マラリア原虫をもったハマダラカ(蚊)に刺されることで感染する病気です。
2. 熱帯・亜熱帯地域で流行しており1年間に約2億2000万人が感染し、推計43万5,000人が死亡しています(2018年)
3. 感染したマラリア原虫は肝臓に感染し、10日ほどの潜伏期間をおいて、赤血球に感染するようになります。
4. 赤血球期原虫によって、発熱、寒気、頭痛、嘔吐、関節痛、筋肉痛などの症状が出ます。

【我々の目標】
ワクチンと診断薬でマラリアを根絶することです。

【我々の研究】
主に、以下に示す3つの研究テーマを研究しています。
1.ヒトにおけるマラリア発症・重症化・防御メカニズムに関する研究
2.赤血球内におけるマラリア原虫の寄生成立と維持メカニズムに関する研究
3.マラリアワクチン・診断薬の開発

これらの研究における、近年の代表的成果は以下のとおりです。詳細は論文一覧(Publications)を参照してください。
1. Kanoi et al (2020) Front Immunol, Kanoi et al (2018) Vaccine, Kanoi et al (2017) Vaccine, Morita et al (2017) Scientific Report

2. Yuguchi et al (2021) Front cell Infect Microbiol, Nagaoka et al (2021) Parasitol Int, Hakamada et al (2020) IJMS, Nagaoka et al (2020) Scientifc Report, Nagaoka et al (2020) Front Immunol, Nagaoka et al (2019) Scientific Report, Morita et al (2018) Scientific Report, Morita et al (2017) Scientific Report

3. Rhea et al (2020) Nature Medicine, Ripr5特許(WO2018088507), GAMA5特許 (WO2018088509)

【我々の研究基盤】
コムギ無細胞タンパク質合成系を最大限利用することで、近年3000マラリア原虫組換えタンパク質ライブラリー、500種類のウサギ抗マラリア抗体ライブラリー、さらに赤血球・血管内皮細胞表面タンパク質ライブラリーといった、独自なバイオリソースの確立に成功しました。これを基盤として、自身の研究テーマにユニークな方法論でアプローチしています。下図はアルファスクリーンを用いたハイスループット抗体価測定系です。たった数マイクロリットルの血清・血漿で3000種類の原虫抗原に対する抗体価測定が可能です。プロテインマイクロアレイと比較して、立体エピトープの検出に優れており「意味のあるデータ」を得ることができます。他の競合技術と比較して圧倒的な感度と正確性を備えており、世界中のマラリア研究者と共同で今まで答えきれなかった重要な研究課題にチャレンジしています。

【新メンバー募集中】
マラリア研究部門では新メンバーを募集中です。マラリア原虫の謎を一緒に解き明かして、世界をあっと言わせようではありませんか。