抗体医薬をつくるためにできること  

 
 

抗体分子の3次元構造
http://pdb101.rcsb.org/motm/21

 
 
 
 

抗体医薬の主な作用機序

 
 

 抗体は脊椎動物が生体防御のために作るタンパク質の一種で、特定の分子(タンパク質、脂質、糖鎖など様々)に非常に強く、かつ特異的に結合します。抗体医薬は、創薬ターゲットタンパク質に結合する抗体を薬として投与する医薬品で、抗体の結合力と特異性の高さから、高い効果と低い副作用が期待されており、抗体医薬の市場規模は年々増加しています。
 

抗体医薬については国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部のサイトで非常に詳細な情報が紹介されています。
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 抗体医薬で用いられる抗体の標的分子(抗原)として細胞の表面にある膜タンパク質が注目されています。Gタンパク質共役型受容体(GPCR)を始めとする膜タンパク質は重要な創薬ターゲットで、現在上市されている、あるいは開発中の薬剤の半分は膜タンパク質受容体を標的としていると言われています(Hapkins and Groom Nat Rev Drug Discov 2002, Rask-Andersen et al. Nat Rev Drug Discov 2011)。創薬ターゲット膜タンパク質の細胞の外側に露出している部分(細胞外領域)に結合して、膜タンパク質の機能を止める/亢進することができる抗体を作ることができれば、抗体医薬の種になる可能性があります。
 
 ただし、抗体医薬開発には幾つもの課題があり、その開発は非常に困難です。
私たちが解決したい抗体医薬開発の問題点は2つ。一つは抗原膜タンパク質の大量調製、もう一つは膜タンパク質の細胞外領域の抗原性の低さです。